北部から中部にかけて延々と砂漠が広がっているスーダンにとり、水の確保は最優先事項である。特にスーダンは国家収入の約60%を穀物で賄っていることから、灌漑事業は非常に大切なプロジェクトである。スーダンでの灌漑の歴史は首都ハルツーム南部、ゲジーラ州から始まった。ゲジーラ州の州都メダニには灌漑省が置かれ、現在でも灌漑の中心地となっている。 1925年、スーダン初のダムであるセナールダムが完成し、青ナイルの水により約200万ヘクタールもの地域が灌漑された。ゲジーラ州の灌漑設備には、驚くべき工夫がなされている。広大な灌漑地域には水を汲み上げるポンプは1つもなく、全ての用水路は土地の傾斜を巧みに利用して枝分かれし、隅々までナイルの水が行き渡るように設計されている。またセナールダムの取水制限は1日に600万平方メートルに限られているため、下流地域の担当者が上流地域に水の供給量をオーダーするシステムをとっている。スーダンは決して豊かな国ではないが、水を活用する技術に関しては周辺国の手本ともなっている。
