ザンベジ川流域に住むトンガ族。彼らはザンベジ川に住むといわれる神、ニャミニャミを崇拝する。大昔、人々が飢えで苦しんでいたときにニャミニャミがトンガ族の村を訪れ、自分の肉を切り人々に分け与えたという伝説がある。彼らにとって、ニャミニャミはザンベジ川の守護神でもある。地域の水不足解消と水力発電を目的に、植民地政府がザンベジ川を堰き止めて巨大な湖を作る計画をたてた際、ダム予定地に住むトンガ族に高台の場所に移動するよう求めた。

するとトンガの伝統祈祷師は笑いながら「そんなことをニャミニャミが許すわけがない」と答えた。政府はトンガ族の反対を押しきり、ダム建築の計画を進めた。天災はザンベジ川の流れを変えようとしたときにおきた。突然、過去最高水位よりも20メートル以上も水量が増し、建築中のダムは崩壊し、多くの労働者が事故死したという。政府は再びトンガの村を訪ね、祈祷師を含めた村人との交渉がまとまると水位は下がっていったという。

総勢100名以上の死者を出した後、1959年当時世界最大、人類史上最高量の電力を供給するカリバダムが完成した。しかし一方、コンクリートに落ちて救出されないままダムの壁になった労働者もおり、分厚いコンクリート壁には17名の遺体が埋もれたままである。今でもトンガ族の人々は「ニャミニャミの許可を得なかったから白人に天罰が下った」と笑っている。
