1868年、南アフリカの狩猟家レンダースは南ローデシアで巨大な石造建築物を発見した。地元の人々はそれを「石の館」の意味をもつ現地語、「ジンバブエ」と呼んでいた。この遺跡は主に3つの遺跡群により成り立っている。「グレート・エンクロージャー」と名付けられた巨大な楕円形建築物と、「アクロポリス」と名付けられた岩山の上の大建築群、そして住民の居住区域であったとみられる谷の遺跡だ。

アクロポリス(神殿)には王の家族が住んでいたと考えられており、その建築様式からグレート・エンクロージャーより早くに建設されたとされている。ここには王でさえ入ることの許されなかったといわれる神聖な祭壇広場や呪術師の住居跡や、金の精製所跡が見つかっている。アクロポリスのある小高い丘には小さな洞窟があり、ここで大声を上げると窟内でハウリングし、 300m離れている王の住居、グレート・エンクロージャーにまで声が届くという、驚くべき通信システムも確立されていた。

王国を司る宗教や経済の重要な拠点であったのであろうと考えられている。一方、グレート・エンクロージャーは巨大な壁に囲まれた宮殿で、その壁の高さは11m、厚さは7mにも達する。ここには王とその側近が住んでいたと推測されている。このようなケタ外れの宮殿を建設した理由は諸説あるが、未だにはっきりとした理由は見つかっておらず、建造年代も含め謎に包まれたままである。

この宮殿は古い記述にも記されており、バスコ・ダ・ガマの航海日誌にも登場しているほか、デ・バロスも「この国の真ん中に恐ろしく大きな石で作られた要塞がある」と記述している。この遺跡からはペルシャや中国の元・明朝時代の陶磁器も多く発掘されており、古い時代からアジアとも交易があったことも確認されている。一説には、旧約聖書に記されたオフィール国で、ユダヤの王ソロモンへ金を献上していたとも推測されているが、現在はショナ族による王国、モノモタパの拠点であったとする説が一般的である。

現在のジンバブエという国名はこの遺跡の名に由来しており、コインや紙幣にもデザインされている。国のシンボル「フィッシュイーグル(白頭ワシ)」は、元々この地の王族のトーテムアニマルであり、この遺跡で発見された彫刻物であった。フッシュイーグルはジンバブエの全てのコインや国旗にデザインされている。またこの遺跡は世界遺産にも登録されている。
