南ア代表チームの試合を観ると、唯一の白人選手であるDFマシュー・ブースがボールを持つ度にスタンド中から地鳴りのようなブーイングに似た声が響くことに気付くだろう。
南ア代表監督ジョエル・サンタナでさえ「サポーターはマシューを愛しているのに、彼がプレーをする度に観客がブーと叫ぶのか初めは理解できなかった」と明かしている。「南アの黒人サポーターは人種差別主義者だ。白人選手がボールを持つと一斉にブーイングする」と書いたジャーナリストもいたが、これも間違いだった。
サポーター達は「ブー」というブーイングではなく「ブーーース」と彼の名前を呼んでいるのだ。
白人選手の名前を大声で呼ぶ声援は南アサポーターの伝統であり、以前白人のDFマーク・フィッシュがプレーした時もスタンドから「フィーーッシュ」の声が響いていた。サポーターはその声援によってプレーヤーに活力を与えている。マシュー本人も「サポーターは自分のことを愛してくれている」と何回外国人に説明したかわからないと語る。

今や南アフリカ代表に欠かせない戦力である彼は2002年のW杯の際、開幕10日前に怪我をして本大会に出場できなかった。2010年の出場は悲願であり、その意気込みが2009コンフェデ杯でのよいパフォーマンスにつながっていたようだ。
私生活では2006年、元ミス南アに入賞し世界で活躍するモデルである黒人女性と結婚し、2人の子どもに恵まれている。
「黒人主体のサッカーチームで肩身の狭い思いをしたことは?」と意地悪な質問をすると、「白人だからやりにくいと思ったことは一度も無いね。今この国は人種は関係ないんだ、たとえ黒でも白でも黄色でも紫色でもね」と笑った。
人種を越えてファンに愛される選手である。

マシュー・ブース
(マメロディ・サンダウンズ所属)
1977/3/14 ケープタウン生まれ
身長 1.98m
体重 94kg
(c) www.matthewbooth.co.za