アフリカ大陸を南北に分断するグレート・リフト・バレーでは、様々な場所で火山活動を見ることができる。そのなかでもエチオピア北東部にあるマグマの泉、エルタ・アレの火山活動は激しい。地中から湧き出す赤いマグマ、生き物のように形を変えるドロドロとした泉の表情、強烈な熱気と激しい硫黄の臭いは地球の内部を曝け出しているかのようであり、人間の立入りを拒んでいるかのようだ。地元民のアファール族はここを「地獄の入り口」と呼ぶが、まさに相応しい名前であろう。
2008年に近郊のダラ・フィナ火山が爆発した時にはこの泉のマグマが枯れ、2005年にダバフ火山が爆発した際には泉のマグマが溢れ出した。地震学者によるとこの泉は「地球の弁」の役割をしており、この泉をとおして地中のマグマの状態がわかるそうだ。火山活動のわかりやすい指標として重要視されており、常に衛星からも監視されているという。

エルタ・アレへ辿り着くための行程は極めて困難である。50℃を越える酷暑の中でキャンプ生活や登山を強いられ、ソマリアにほど近いために武装セキュリティの同行も必要だ。泉の周辺はマグマが溢れ出た跡で覆われ、足元はガラスのように壊れやすい。ロケーションはまさに僻地であるが、それだけに到達した時の感動は大きい。地球の鼓動が肉眼で見られる、世界でも類を見ない場所である。