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南ア初の黒人金メダリスト
1996年のアトランタオリンピックのマラソンで、一人の黒人選手が優勝した。ジョサイア・チュグワネ。長い間黒人のオリンピック出場が禁止されていた南アフリカにおいて、史上初の黒人金メダリストとして脚光を浴びることになる。彼は貧困層の出身であり殆ど教育を受けておらず、族語であるンデベレ語をポチパチと舌を鳴らしながら話すのみで読み書きもできず、自分のサインさえ書くことができなかった。当初はサッカー選手を目指していたチュグワネは158cmという背の低さからサッカープロを断念、17歳のときにマラソンを始めた。アトランタで優勝する前は南アフリカ国内でも無名の選手であり、出場時も生活費を稼ぐため、炭鉱でキッチンやトイレの清掃をしていた。
ジョサイアの転機は突然訪れた。南アフリカ史上初の黒人金メダリストとして一気に国民的ヒーローに。優勝後南アに帰ると報道陣に取り囲まれ、このとき初めて世界的なことをしたと気付く。多すぎる質問への答えを考えるため、しばらく眠れなくなったという。優勝後、家庭教師を雇って英語の勉強を始めた。「泥棒たちは金メダルを盗めるけど、教養は誰にも盗めない。」「マンデラの援助のお陰で生まれて初めて学校にも行けた。彼には感謝しているよ。」現在は若いアスリートの育成に力を注いでおり、自腹で彼らに靴を買ってやることもある。
実はこのチュグワネ、アトランタオリンピック出場の数週間前に強盗に教われて銃で顎を撃たれた。走れるかどうかという周囲の心配をよそに金メダルを獲得したのは、貧しい生活を抜け出すための努力なのだろうか。チュグワネは日本に何度もレースに来たことがある、大の親日派だ。1997年の福岡国際マラソンでは30km地点からスパートをかけ、優勝。その時のタイム2時間7分28秒は今でも大会歴代2位の記録である。

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